48 玉幡競馬塲[# 目次では「場」となっている]

美しい楊柳の並木と、緑の草原と、此の競馬場は、明るい南歐的の風景です。
釜無川の氾濫原を、そのまゝ利用した、此の競馬場は、せまくるしい本縣にも、こんなのび/\した所があつたかと、びつくりする程です。
版畫は、一人の騎手が、楊の根本に憩ふて、遠い八ッ岳の峰を仰いでゐるところです。
旅から旅へ、はかない命を一本の鞭にたくして、危險の商賣に、渡り鳥の生活をして行く、此の若い騎手は、今一体何を考へてゐるのでせうか。
競馬場の西は釜無の清流で、近く完成せんとする開國橋は、甲府平原の西と東を連ね、峽中文化に貢献する所が大きい。

(深澤榮助)


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